特殊車両とはどんな車両？事例をもとに解説！

特殊車両（以下、特車）を通行させるためには、特殊車両通行許可（以下、特車申請）が必要になるわけですが、そもそもどのようなものが特車に該当するのでしょうか？

一般的制限値

　道路は一定の構造基準により造られています。重量の重たい車両を無制限に通行させれば、ダメージの蓄積が早くなり、陥没や損傷の原因となってしまします。また、特車に該当するような大きな車両が事故を起こした場合は大惨事になりかねません。

そのため、道路法では道路の構造を守り、交通の危険を防ぐため、道路を通行する車両の大きさや重さの最高限度を次のとおり定めています。この最高限度のことを「一般的制限値」といいます。

この各種制限を１つでもオーバーした場合は特殊車両となり、特車申請が必要になります。

特殊車両というと、何か特殊な用途に使用するものをイメージされるかもしれませんが、あくまでこの一般的制限値を超えるかどうかが特車か否かの判断基準になります。

特殊車両の具体例

単車

建設用のトラッククレーン（オールテレンクレーン・ラフテレンクレーン）が単車の代表格です。これは構造的にも「特殊」というイメージを持ちやすいかと思います。

実務では長さ・総重量が一般的制限値を超えて特車となるケースが多いです。

特例５種

この特例５種というのは物流用の車両で、分解可能な物品を運搬するための代表格です。先ほどの単車とはことなり特例5車種は「連結車」となります。

連結車というのはトラクタ部（駆動部）とトレーラ部（積載部）が切り離し可能である構造のことを言います。

１台のトラクタに様々なトレーラを連結することにより、様々な物品の輸送が可能です。

①バン型セミトレーラ
汎用性の高い一般的なトレーラです。主に運送業者が使用しています。

➁タンク型セミトレーラ
ガソリン輸送目的での利用が一般的です。

➂幌枠型セミトレーラ
幌を張った状態で走行するトレーラです。

④コンテナ用セミトレーラ
コンテナ運送用のトレーラです。（海上コンテナ用セミトレーラとは区別されます。）

➄自動車運搬用セミトレーラ
自動車を積載した場合、車検証の長さより寸法が大きくなるため注意が必要です。

道路を見てみると、トラックの頭部分だけ走っているのを目にすることはありませんか？
あれはトラクタ部だけで走行している状態です。

一般的にはこのトラクタとトレーラーを連結すると長さが12ｍを超えてしまいますので、おのずと特殊車両に該当し、特車申請が必要になります。

特例５種の特例とは？

この特例5車種は他の車両に比べて、総重量の規制が緩やかに設定されています。通常であれば、総重量が20ｔを超えると特殊車両になる為、特車申請が必要になるわけですが、上表の条件のもと、総重量が緩和されます。

例えば最遠軸距が8.5ｍの車両の総重量が24.5ｔの場合（その他一般的制限値は超えていない前提）

高速自動車国道・重さ指定道路＝特車申請不要

その他道路＝特車申請必要

となります。
最遠軸距に関しては、以下ご確認ください。

追加3車種

こちらの３車種も分解可能な物品を運搬する物流用の車両です。貨物の落下防止の為十分な強度のあおりや固縛装置を装備しているのが特徴です。

以上の８車種をまとめて特例８車種と表現することもあります。
追加３車種に関しては、総重量の特例が適用されるわけではありませんが、実際の特車申請時には認証トラクタと連結することにより軸重緩和特例が受けられる場合があります。

ここまでは「車両自体の構造が特殊」な車両をご紹介してきましたが、以下貨物が特殊な場合の解説を行います。

貨物が特殊な車両

①海上コンテナ用セミトレーラ
海上国際コンテナに関しては、開封できないように封印された状態で運搬され、分解することができないため、貨物が特殊な車両に分類されます。

➁重量物運搬用セミトレーラ
分解不可で、幅広かつ重量の重たい貨物を運搬する場合に使用されます。

➂ポールトレーラ
長くて分解できないようなものを運搬するのに使用します。

「分解できないものを運搬」というところがポイントです。

如何でしたでしょうか？特車申請を行うにあたって、その車両が特車であるか否かの判断を行う必要があります。特例等もあり、かなり複雑な制度で一度にすべてを網羅するのは難しいですが、まずは一般的制限値を超えれば特車になるんだ。という事を覚えておいていただければと存じます。

新規格車は特車申請がいらないというイメージをお持ちの方が多いですが、場合によっては新規格車でも特殊車両に該当し、特車申請が必要となるケースが御座います。

新規格車とは？特車申請が必要なケースを開設で詳しく解説していますのでご覧になってください。